2013年12月30日月曜日

すっかり年末ですね

もう、すっかり年末です。落語の「芝浜」を観にいきたくなる頃ですね。借金取りから逃げる準備はお済みでしょうか?

さて、今年の総まとめをしてみましょう。今年面白かったものや印象的な出来事を並べてみました。しばらくおつきあいくださいませ。

1、プリンチピ・ヴェネツィアーニ「ローランド・デ・ラッスス」
プリンチピ・ヴェネツィアーニによる、ラッススの曲ばかりを集めたコンサートです。天上的な美しさ!

2、劇団超人予備校「エリマキトカゲ心中」
人間以外の演劇を得意とする劇団超人予備校の本公演です。今回はめずらしく人間役がありました。心中ものだけに近松門左衛門も登場!げらげら笑って最後になぜか泣いている良いお芝居でした。

3、KIX「たびたま」
超人予備校と舞道ダンスシアターのコラボ作品。ダンス教室の発表会をやりたいけど、発表会は嫌いだ!という、舞道ダンスシアターを率いるニランジャンさんの提案によって作られました。アメリカ人のギャングが死んで生まれ変わっていくという物語に、ダンスシーンが間に挟まれる。最初のダンス見ただけで目がウルウル。爽やかな作品でした。あ、アメリカ公演もありました。超予備すごい!

4、劇団どくんご「君の名は」
日本中を旅するテント劇団。夏に大阪に来ました。筋書きはないけど、歌あり踊りあり、角砂糖のアクションあり(?)のおかしな2時間。君の名はのワンシーンが執拗に繰り返されるのには笑った。また最後の4人芝居も似たようなシーンを執拗に繰り返すが、途中からどんどん引き込まれて泣かされました。人間のあらゆる感情を表現している!
終わった後は放心状態で、超人予備校のミツルギ兄さんに打上げに誘われたけど断って帰ってしまった。
ヤバいものを見た!早く来年の公演見たいなー。

5、石田あい個展
今、大阪から世界に飛び立とうとしている新進気鋭の書道家・石田あいちゃんの個展が中崎町で2回ありました。どんどん自分の殻を打ち破っていく姿に激しく感動します。今まで見た事のない「書」の世界。がんばれー。

6、ミツかね堂はじめました
超人予備校のミツルギさんと女優で奥さんのふくいあかねさんの童話朗読ユニットです。ミツルギ作品をあかねさんが朗読します。僕も音楽ユニット「バナナ部」で演奏をさせてもらいましたよ。あと、もりたみえさんの落語「夏の医者」も面白かった。台風でしたが楽しかったです。

7、88カフェ閉店
東大阪に引っ越してきてから、毎週通っていた居酒屋「88カフェ食堂」が残念ながら閉店となりました。閉店前の華乃屋さんのライブでは3曲、ゲストとして出させてもらいました。ありがとうございました!


隠居生活を始めた今年、結構面白い事がありました。やはり穀潰しの身としては観劇が多いですね。来年は寄席も行きたいなー。

という事で、良いお年をお迎えくださいませ。


2013年12月21日土曜日

ローランド・デ・ラッスス



プリンチピ・ヴェネツィアーニ「ポリフォニー音楽の巨匠 ローランド・デ・ラッスス」

昨日、プリンチピ・ヴェネツィアーニのコンサート行ってきました!
年1度の気合いの入った本公演です。

音楽がルネサンスからバロックに移り変わってゆく頃、こんな華やかな演奏/合唱があったんですね。

まず、厳粛で神聖な感じのオルガン演奏で幕をあけました。綺麗なタペストリーをおってゆくようなルネサンスのポリフォニー、またそれの1パートだけに華麗な装飾を施して、さらに華やかになっている曲も。1階の弦楽器と2階の歌&コルネットとの掛け合いも、天上と交信しているような錯覚を引き起こします。

バッハやヘンデルの活躍する100年も前のヨーロッパの音楽。聖と俗をうまく絡み合わせながらも美しい音楽であります。

今、絶好調のプリンチピ・ヴェネツィアーニから目を離せない!!!

(写真提供は田中さんです)


2013年12月14日土曜日

「ルネサンスの秋」読了

ホイジンガ「中世の秋」を意識しまくっている、ウイリアム・J・バウズマの「ルネサンスの秋」(みすず書房)読了。320ページ、2段組みという大著です。久々に歴史の本を買ったのですが、かなり面白かったです。

内容は前半、ヨーロッパにおこったルネサンスという文化的運動を前向きなところからとらえていて、ガリレイの地動説や、印刷技術によって本が大量に出版され知識の量が膨大になってきた、など、この時代(1550年〜1640年)に人々の意識がかなり変わっていった事が述べられています。また、演劇がさかんに行われ、それを観に行く人も上流階級から一般人まで様々な人々に影響を与えだしている。
後半は、その前向きな反動として、秩序を乱すような事をやめよう、という運動も同時に起こっていた事も書かれています。


今まで天が動いていると信じていたのに、「地球が回ってるんやで」と云われて、それが「この本に書いてあるから」みたいな時代になってきたって事ですね。情報が大量に手に入るようになってきて、教会や王様のいう事が「ちょっと違ってるやろ!」とつっこみを入れられるようになっていったんです。市民革命に至る考えの変化がこの頃に生まれ始めていました。その反面、規制も厳しくなっていきました。

また、自己とは何か、という事は、今までのように教会のいう事を信じてたらいいと思えなくなり、不安感も増していったそうです。憂鬱(メランコリー)っていうのもこの時代に流行ったんですね。

結構、今とそっくり。

2013年12月6日金曜日

Luca Marenzio Primo libro di Madrigali a cinque voci

ルカ・マレンツィオという人、知らなかった。16世紀の終わり頃、ローマで大人気だった歌手/作曲家だそうな。調べてみたらマドリガーレ作曲では有名なんですね。

このディスクは、その人が1580年に出版した「5声のマドリガーレ集第1巻」をラ・コンパーニャ・デル・マドリガーレという声楽グループが録音したもの。

このグループ初めてなんですが、コンチェルト・イタリアーノやラ・ヴェネクシアーナの中心メンバーで結成されたドリームチーム(!)という謳い文句だけあって、結構イケます。というか、当たりを引いたんちゃう???
バロック前のつつましげなのに華やかな感じが全体を覆っています。
モンテヴェルディもいいけど、僕はこっちの方が好みかも。

カルロ・ジェズアルドも録音してるそうやから、そっちも聴いてみたい。ジェズアルドの時々無表情になるような暗さが。




2013年11月28日木曜日

リュートいろいろ(その2)

今回は題して「こんなリュートは欲しくない」です。

まず1つ目。割と普通の形してます。まだリュートを手に入れてなかったらこれでもいいかな〜と思えますが、評判のすこぶる&%$)8&&#"=&いリュートです。(あれ?なんか妨害電波が入ったみたいで一部文字化けをおこしてます)
弾いた事ないですが、値段がね。エレキリュートにすればちょっと売れたりして。税込みヨンキュッパ!!!誰か買ってみて!!!


2つ目。リュートでもダブルネックを考えたやつがいるんですねー。でも、これは左利きで弾けるようになっとかなあかんのかな???いやいや、よーく見るとどちらも右利き用です。ひっくり返して使うんですね。これはエレガントを目指し・・・てないよね。。。


3つ目。これはテオルボをボディの方を長くしてしまった例。どうしてこの考えになったのか???
でも当時のトップリュート奏者ピッチニーニの考案だったらしい。低音側にもちゃんと目玉のようなロゼッタが掘られていますね。最早、ホラーの領域ですな。

2013年11月27日水曜日

リュートいろいろ

リュートといってもいろいろと種類があります。今のエレキギター並みにあるんとちゃうかなー。


16世紀終わり頃から歌の伴奏などで使われ始めた、ボディが大きく、糸蔵の長〜いテオルボ(キタローネ)というのがあります。「でかいギター」という意味だそうですが、見た目はリュートですな。

写真は左からアーチリュート、テオルボ(中)、テオルボ(大)です。左に写ってる襖と比べると「どんな高さやねん」ってくらいでかい!!!
イタリア歌曲とされている(らしい)カッチーニの曲なんかは、ピアノでなく、テオルボの伴奏で聴きたいものですね。

プリンチピ・ヴェネツィアーニのコンサートではおなじみです。
http://principivenetiani.blogspot.jp



ルネサンスリュート。これは6コース。
16世紀から18世紀頃まで、リュートが衰退するまで使われていました。この後、弦を低音側に増やしていって、7〜10コースぐらいまで持つルネサンスリュートが次々と登場します。

また、11〜13コースのソロ用バロックリュートも。これは写真なし。残念。


さらに昔にさかのぼると、中世リュート。写真のは5コース(5弦の意味。復弦なのでこれは9弦。)で、15世紀頃に使われていたもの。デュファイ、バンショワの時代ですね。ルネサンスリュートの初期型ともいえます。オリジナルが残っていないようなので、当時の絵や図面から復元されました。この時代の音楽って今、ほとんど聴く事がないですね。朝のNHK FMぐらいかな、聴けるの。中世音楽からルネサンス音楽への移行期なので、いろいろ面白いですよ。


と、時代や音楽の内容によって、いろいろな種類のリュートがあるわけです。欲しくなってくるよ。お金はないが。。。

2013年11月18日月曜日

プリンチピ・ヴェネツィアーニ「ことばの雨」

プリンチピ・ヴェネツィアーニのコンサート「ことばの雨」を観てきました。
京都二条の小さいホールで、お客さんは16人とちょっと少なめ。

プログラムが凄かった。17世紀イタリアの非常に感情的な台詞を役者が喋ってるような歌と、その時期に流行った器楽曲。短いプログラムだったけど、2回、盛り上がるところを作っていて、1つ目は「パッサカリア上のカンタータ」ポッツィ作曲。パッサカリアの下降する音形に乗って、自分がどれだけ苦しいかと畳み掛けるように歌う。
2つ目は、「アリアンナの嘆き」モンテヴェルディ作曲。これもいきなり「死なせて!」で入る悲痛な歌。

今回、聞き流せる曲はなかった。手に汗握る、まるで演劇を観ているような、素晴らしい内容でした。

聴く側になかなか安心させてくれない、挑発的な音楽家達。みんなこれを聴かずして死ねないぞ!



あ、12月20日、京都文化博物館で本公演があります。見逃すな!!!


↓プリンチピ・ヴェネツィアーニは以下のリンクから!
http://principivenetiani.blogspot.jp

2013年11月13日水曜日

カプスベルガー

カプスベルガーのトッカータを攻略中。
カプスベルガーと聞くと、ドッペルゲンガーを思い出す。自分を外で見ると恐いねー、死ぬかもしれんよ。まあ、どうでもいいんやけど。

そうそう、カプスベルガーの話でした。
弾き始めてから良い曲だと思えるまで結構な時間がかかる。でも、ほとんど良い曲!
10コースリュートを持ってなく8コースであるので、弾けない音はオクターブ上げて、でも10コースのC音は欲しいので8コースをCにして、と、いろいろやってるとテンション上がってくる。リュートを弾き始めたときにやろうと思ってたので、こんな嬉しいことはないです。はい。

一緒に弾き始めてるピッチニーニと比べると、好き嫌いがはっきりするかも。
ピッチニーニは悪い曲無いんやけど、びっくりするほど良い曲もないな。結構良いんやけど、カプスベルガーに比べると見劣りするなー。いや、良いんですがね。

あと、ちょっと前のモリナーロもいいです。これもリュート始めたときに弾きたかったので、これからボチボチやろうかなっと。でも難しいなー。

写真はカプスベルガーの「D'INTAVOLATURA DI LIUTO LIBRO PRIMO」

買っといて損はないですよ。みんな持ってるかな?
(これはMINKOFF出版ですが、SPESの方がテオルボ楽譜もついてくるのでお得感があるかも?)
Principi Venetianiでもたまにやってますよ。




2013年11月7日木曜日

ルネサンスの秋

「中世の秋」(著者:ホイジンガ)という本があります。中世の終焉とルネサンスの始まりの頃のヨーロッパの歴史を書いた本であります。初期ルネサンスのデュファイやバンショワの活躍していた頃ということで、古楽ファンにはおなじみ(???)の本ですが、15世紀、フィリップ善良侯が十字軍発向の為に行った「きじの誓い」(十字軍に行くぞ!と誓いをたて合って大宴会が催された。巨大なパイの中で演奏が行われたという記録が残っている。)の事などが書かれています。

そして、今日!
難波千日前で、立ち飲みの誘惑を振り切りつつ訪れたジュンク堂で見つけた本。

「ルネサンスの秋」(ウィリアム・J・バウズマ みすず書房)


明らかに「中世の秋」を意識して書かれたものであると思われる。
1550年〜1640年と副題にあるように、後期ルネサンス、初期バロックの頃の事を書いた本であるようだ。(まだ序文しか読んでません。。。)
序文によると、今まで「知学」を中心にした本は出ているけど、これは「文化」を中心にすえて書いているとのこと。目次を見ると「自己」「知識」「時間」「空間」「政治」「宗教」の解放、「時代」の悪化などの項目があり、当時の人がどんな事を考えて、どう行動していったのかが書かれているみたい。

ちょっと古楽ファンとしては興味深い!楽しみ!




2013年11月5日火曜日

古楽勉強会

古楽勉強会行ってきました。(11/4)
参加者は僕を入れて3人。器楽奏者で達者な人達です。

内容は、
前半:2声対位法での作曲
後半:装飾は歌詞とからめたらどのようにつけられているか

という、ちょっと尻込みしたくなるものでした。
作曲というと敷居が高いように感じますが、16世紀頃では音楽を習うのは楽器演奏習得と作曲だったということです。

これが、やってみるとかなり面白いものでした。まず簡単なテーマを第1声部が始めて、少し後から第2声部が模倣という形で入ってくるのですが、入るところを間違うとすぐに不協音程となってしまいます。これを不協音程が出てこないように進めていき、最後にカデンツで終わる、出来たら「ヤッター!」と喜ぶのですが、後で「ここは5度平行、ここは8度平行になってる」と指摘をうけて、「うむむ。。。」とうなる事になるんです。
同じテーマでやっても、人それぞれ違うものになっていて、それも興味深いことでした。

後半は、モンテヴェルディの曲を例にとって、シンプルな形がどのように装飾されているかを笠原先生が実際に歌い比べてくれるというもので、歌聴けただけで来てよかった、と受講生の方が言っておられました。また、モンテヴェルディはすごいな、と再認識。

次回はセッションの会だそうです。楽しみ!

2013年10月19日土曜日

劇団見学



先日、ある関西小劇団の練習を見学させてもらいました。

音楽をやっていくのにとても近いところがあるので、それを盗ましてもらおう、と思ってのことです。

演劇に長年関わっている人とそうでもない人と両方いるのですが、一人一人のモチベーションが高い!というのを感じました。
あるシーンを練習するのに、役者がだいたいこんな感じというのを決めていて、それを演出家が、「深刻すぎるからちょっとやさしく」などの注文をつけると、もうそれが出来てゆくのです。こんなの当たり前やと思うなかれ!会社の仕事でも、また音楽の現場でも、こんなのが出来てない事っていっぱいあります。

まあ、演出家や劇団のやりかたもいろいろあると思いますが、役者も自分で作ってきたことをやって、演出家の考えとの間を近づけてゆく、また、演出家も役者のやってることが面白ければ受け入れる、という理想的な現場を見たような気がします。

見学を許してくれた、劇団主催者さんと、変な(しかし面白い!)劇団を紹介してくれた奥様に感謝します!ありがとうございました。